Googleのデジタル市場法(DMA)コンプライアンス

欧州連合(EU)のデジタル市場法 (Digital Markets Act、以下DMA) は、欧州経済領域(EEA)全体のプラットフォーム規制を調和させ、公正で開かれたデジタル市場を確保することを目的としています。

ここでは、DMA規制に基づくアトリビューションAPIの使用に関するGoogleの要件に準拠するため、Adjustが実施するサポート内容について説明します。 ここでは、以下のAPIをGoogleの「アトリビューションAPI」と呼びます。

  • Google 広告API(オフラインコンバージョンインポートおよびカスタマーマッチ対象)
  • Google 広告 アプリコンバージョンAPI
  • Google マーケティング プラットフォーム アプリコンバージョンAPI

DMAはGoogleにどんな影響を与えますか?

DMAは、「ゲートキーパー」と呼ばれるデジタル業界の主要プレイヤーの権限を縮小することを目的としています。ゲートキーパーの定義は、EEA域内に拠点を持つ4,500万人以上の月間アクティブエンドユーザーと、EEA域内に拠点を持つ年間10,000以上のアクティブビジネスユーザーにコアプラットフォームサービスを提供する企業を指します。

この定義によると、Googleはゲートキーパーと見なされます。 つまり、広告主がDMAの法律に準拠する責任があるということです。 AdjustおよびAdjustのお客様は、そのような義務を負いません。

DMAは、事前に法律を制定することを目的としており、既存の行為を非合法化するのではなく、ゲートキーパーの将来のビジネスを規制することを目的としています。 今後ゲートキーパーは、以下を遵守する必要があります。

  • ターゲット広告の目的で、ゲートキーパーのコアプラットフォームサービス外でエンドユーザーを計測するには、ユーザーの有効な同意が必要です。
  • ゲートキーパーは、あらゆるタイプのプロファイリングに対し、同意書を文書化する義務があります。

DMAは、Google以外の「ゲートキーパー」の定義に該当する企業(Meta、Microsoft、ByteDance、Amazon、Apple)にも影響を与えます。 しかし、これらの企業は、準拠するために従うべき要件をまだ実装していません。

Googleがコンプライアンスを維持するためにAdjustはどのように役立ちますか?

DMAに準拠するため、GoogleはEEA居住者の同意なしにターゲティングまたはアトリビュートができないことにしました。よって、AdjustはGoogleからアトリビューションAPIに送信する全てのリクエストとともに、同意データを送信する必要があります。

同意データは4つのパラメーターより送信されます。 これらは、インストールがEEA内で行われたかどうかに関わらず、全てのリクエストに付与されます。

eea=<boolean>
ad_personalization=<boolean>
npa=<boolean>
ad_user_data=<boolean>

必要なパラメーター

各リクエストごとに、必ず以下の4つのパラメーターをAdjustに送信する必要があります。

パラメーター説明
EEAeeaパラメーターは、ユーザーがEEA内にいるかどうか、つまりこのユーザーとコンバージョンにDMAなどの欧州の規制が適用されるかどうかをGoogleに通知します。 パラメーターのタイプはbooleanです。1 = ユーザーはEEA内に在住であり、DMAが適用される

0 = ユーザーはEEA内にいないため、DMAは適用されない
ad_personalization
  • Google 広告の場合

ad_personalizationパラメーターは、アプリのインストール後にユーザーがGoogle 広告でパーソナライズド広告を受け取ることに同意したかどうか、つまりGoogleがユーザーをリターゲティングできるかどうかを示します。
1 = ユーザーが同意

0 = ユーザーが同意を拒否
ad_user_dataad_user_dataパラメーターは、ユーザーが計測目的での個人データの共有に同意したかどうかをGoogleに通知します。 同意は、広告主がGoogle 広告およびGoogle マーケティング プラットフォームUIで指定したすべてのコアプラットフォームサービスCPSに適用されます。1 = ユーザーが同意

0 = ユーザーが同意を拒否
npa
  • Google マーケティング プラットフォームの場合

npaパラメーターは、アプリのインストール後にユーザーがGoogle マーケティング プラットフォームを介したパーソナライズド広告の表示に同意したかどうか、つまりGoogleがユーザーをリターゲティングできるかどうかを示します。
1 = ユーザーが同意を拒否

0 = ユーザーが同意

お客様への影響

Google 広告および/またはGoogle マーケティング プラットフォームを使用している場合は、EEA内の全てのiOSおよびAndroidアプリユーザーに対し、Google 広告およびGoogle マーケティング プラットフォームとのデータ共有に対する同意、ならびに、これらのアドネットワークを通じて、パーソナライズド広告でリターゲティングが行われることへの同意を求める必要があります。その後、Adjustが提供するパラメーターを使用して、同意データの送信を開始する必要があります。 これは直接行うか、お客様の同意管理プラットフォームを介して行なってください。GoogleがDMAに遵守するため、 2024年3月6日​ までにAdjustに同意データの送信を開始する必要があります。

重要:

Googleでは、3月6日以降に少なくとも1回 、新規ユーザーと既存ユーザーの​ 両方から同意をリクエストすることを求めています。

ユーザーの同意なしにGoogleにデータを送信することを懸念される場合は、サードパーティとの共有機能を使用して、データがGoogleに送信されないようにすることができます。

EEA内にアプリユーザーが存在しない場合は、DMAのコンプライアンスを適用しないようにすることが可能です。以下の1.1 EEAのDMA設定を有効化するセクションで説明されている手順に従ってください。

どの国がEEAに属し、DMA規則の対象となりますか?

よくあるご質問

Adjustの設定

すでにAdjustでGoogleとの設定を行なっている場合は、以下のステップ1と2に従ってください。 これにより、Adjustで同意データを収集および共有し、Googleに転送することができます。

AdjustでGoogleとの連携を開始するには、以下の全ての手順に従ってください。

  1. ユーザー同意をリクエストする、またはEEAのDMA設定を有効化する
  2. 同意データをAdjustと共有する
  3. AdjustとGoogleの連携を設定
  4. 追加データソースの設定

1. ユーザー同意をリクエストする、またはEEAのDMA設定を有効化する

1.1 同意ダイアログでユーザー許諾をリクエストする

Googleでは、広告主がデータ共有とパーソナライズド広告への同意を既存のGDPR同意管理にバンドルできるようにしています。つまり、Googleに対する特定の同意ダイアログは必要ありません。 データ共有と広告のパーソナライゼーションの両方に対する同意リクエストを反映するために、プロンプトの言語を変更する必要がある場合があることにご注意ください。 Googleは、ATTプロンプトへのレスポンスが、直接的にDMAの同意値を反映するとは見なさないため、考慮されない場合があります。

重要:

同意ダイアログで使用する文言については、お客様の法務担当者に相談することをお勧めします。

また、Googleでは同意リクエストを遅らせることもできます。つまり、ダイアログを表示する前に、ユーザーがアプリの使用を開始できるようにすることができます。 同意リクエストの表示を遅らせたい場合は、SDKの初期化を遅らせる必要があります。 ただし、全てのアドネットワークのアトリビューションに悪い影響を及ぼすため、遅延するように設定することはお勧めしません。

EEAでユーザーの同意ダイアログを表示し、データ共有に対する同意が拒否された場合、インストールはアトリビュートされない可能性があります。 ACIの場合、インストールがアトリビュートされていない場合、Googleはインストール後のイベントにクレイムレスポンスを返しません。さらに、広告のパーソナル化への同意を拒否した場合、これらのユーザーにはパーソナライズド広告が表示されません。

1.2 AdjustでEEAのDMA設定を有効化する

警告:

このステップは、EEA内にアプリユーザーが存在しない場合にのみ適用されます。

Googleのポリシーに従い、この設定がアプリに適用されるかどうかは、お客様側でご判断ください。 設定を行う前に、お客様の法務担当者に相談されることを強く推奨します。

EEA内にアプリユーザーが存在しない場合、Adjustのアプリ設定でこれを宣言できるようにします。EEA内にアプリユーザーが存在せず、デジタル市場法の要件に準拠する必要がないと判断された場合、Adjustはお客様に代わってユーザーのオプトインデータをGoogleに送信します。 よって、ユーザー同意を収集して共有するための開発作業を行う必要がありません。

デフォルトでは、EEAのDMAトグルは非アクティブになっています。 つまり、EEA内にユーザーが存在しない アプリ​ に対しては、設定を有効化する必要があります。

設定が有効になると、AdjustはGoogle DMAパラメーターの同意値を生成し、Googleに送信するアトリビューションリクエストに追加します:

eea=0
ad_user_date=1
ad_personalization=1
npa=0

Adjustで既存のアプリにこの設定を適用するには、次の手順に従ってください。

  1. Adjustで、 AppView​ > Apps(アプリ)​ に移動します。
  2. リストからアプリを見つけて選択します。
  3. アプリ情報(App information)​ タブで、 アプリの詳細(App details)​ に移動し、 編集(Edit)​ を選択します。
  4. このアプリのユーザーベースは、欧州経済領域外にあります​ のボックスにチェックを入れます。
  5. 保存(Save)​ を選択します。

ステップ 3 - AdjustとGoogle連携を設定するに進んでください。

2. 同意データをAdjustと共有する

ユーザー同意をAdjustと共有するには、サードパーティとのデータ共有機能を使用してください。この機能をサポートするAdjust SDKのバージョンは以下のとおりです。

お使いのアプリ開発プラットフォーム向けの手順に従って、Adjust SDKに以下を実装してください。

必要なパラメーターが正常にAdjustに送信されていることを確認するには、開発者がSDK Verboseログを見て、これらの値が存在することを確認できます。

注意:

AdjustでGoogleを初めて使用する場合は、Adjust計測が正しく設定されていることを確認するために、以下の設定も完了させてください。

3. AdjustとGoogleの連携を設定する

Google 広告および/またはGoogle マーケティング プラットフォームとのネットワーク連携は、Adjustダッシュボードで設定できます。 詳細は、各プラットフォームに関するページを参照してください。

4. 追加のデータソースを設定する

Adjustでは、さまざまな種類のアプリデータとアトリビューションの統計データを確認できます。 Adjustを他の計測データソースに連携することで、Adjustダッシュボード内でアプリとキャンペーンのパフォーマンスの包括的な概要を取得できます。 これらのデータソースの詳細については、以下のリンクをクリックしてください。

レポート

Googleに同意データの送信を開始すると、GoogleとAdjustの間でアトリビューションの乖離が発生する可能性があります。 これは、Googleが一部のキャンペーンタイプやOSにおいて、確定的にアトリビュートできない全てのユーザーのコンバージョンをモデル化することで、セルフアトリビューションレポートを補完するためです。 ただし、Googleはモデル化されたコンバージョンデータをAdjustとのリアルタイムSAN連携を介して共有しないため、Adjustのクロスネットワークレポートに含めることができません。 モデル化されたコンバージョンは、Adjustの広告費用レポートのInstalls (Network)指標で利用可能です。

注意:

Adjustダッシュボードまたはデータエクスポートでパラメーター値に関連するデータを表示することはできません。

以下のデータは、DMAの同意値を共有しても影響を受けません。

  • Googleに対するSKANインストールのアトリビューション
  • Google以外のネットワークパートナーに対するインストールのアトリビューション

よくあるご質問とベストプラクティス

ユーザーの位置情報を確認できない場合は、どのように対応したらよいですか?

DMAパラメーターの要件の影響を受けるAdjustサービスはありますか?

eeaフラグを設定するにはどうすればよいですか?

Adjust SDKをアップデートする必要がありますか?