ディストリビューションモデル
Adjustのディストリビューションモデルは、クリックスパムによる不正アトリビューションを防止します。Adjustでは、正規のクリックからインストール・リアトリビューションが発生する統計的な可能性を算出し、そこから逸脱するクリックスパムによる過度の広告エンゲージメントを除外します。正規の広告エンゲージメントへのアトリビューションを行うためクリックスパムの目的であるオーガニックユーザーの奪い取りを防止します。マーケターは、貴重なオーガニックユーザーの行動分析を行うことができます。
ディストリビューションモデルの設定
ディストリビューションモデルの設定するには、Adjust管理画面で以下の手順に従ってください。
- 該当アプリの下部に表示されている(▲)ボタンを選択します。
- その他の設定(All Settings)> 不正防止(Fraud Prevention)を選択します。
- 分散データ(DISTRIBUTION MODELING)トグルをONにします。
レベルオプションでは、ディストリビューションモデルのしきい値を設定できます。テスト環境と本番環境を切り替える際に、この設定を変更してください。
- アドバンスト(Advanced)レベル(推奨): 本フィルターの機能を最大に発揮します。完全な本番モードに使用してください。
- スタンダード(Standard)レベル: 試用版およびテスト目的のみに使用してください。
レポートを表示する
レポートを表示するには、管理画面で以下の手順に従ってください。
- アプリに移動して、アプリオプションの (▲) ボタンをクリックします。
- レポート (Statistics)を選択します。
- 不正防止 (Fraud Prevention)タブを選択します。
クリックスパムにより拒否されたインストールは、次のいずれかの列に表示されます。
- 拒否されたインストール:エンゲージメント過多(RI TME)
- 拒否されたインストール:ディストリビューション異常値(RI DO)
クリックスパムにより拒否されたリアトリビューションは、次のいずれかの列に表示されます。
- 拒否されたリアトリビューション:エンゲージメント過多(RR TME)
- 拒否されたリアトリビューション:ディストリビューション異常値(RR DO)
※クリックスパムにより拒否されたインストールは、Adjustのアトリビューション手法に基づき、正規の流入元にアトリビュートされるか、他の流入元がない場合はOrganicトラッカーに計上されます。
不正防止KPIとレポート(Statistics)のご利用方法については、不正防止レポートに関する資料を参照してください。
よくあるご質問
クリックスパムとは何ですか
Adjustでは、実際のユーザーによるクリックではなく、不正な手口を使って発生させたクリックのすべてをクリックスパムと呼んでいます。不正業者がクリックスパムを行う目的は、オーガニックユーザーのアトリビューションを盗み取ること、すなわち、一定数のオーガニックインストールを広告配信ネットワークに不正にアトリビュートさせることにあります。不正にアトリビュートさせることで、価値のあるユーザーが広告配信ネットワークへ大量に流入しているように見えます。
しかし突き詰めていくと、すべてのクリックスパムが計画的な不正であるとは限りません。閲覧(インプレッション)をクリックとして送信するネットワークから、人工的なクリックの一覧を送信するサーバーまで、さまざまなものがあります。もう1つの一般的な例に、アプリがバックグラウンドでユーザーの目につかないように広告を読み込み、クリックを発生させるケースがあります。
Adjustではどのようにしてクリックスパムを特定していますか
Adjustがクリックスパムによるアトリビューションを拒否する手法は、CTIT(Click-to-install time:クリックからインストールまでの時間)の分布に基づいています。最初のステップでは、CTITの分布を操作しようとする高頻度のクリックを無効にします。次のステップでは、ディストリビューションモデルを使用してアトリビューションを拒否します。
ハイパーエンゲージメント
不正業者は、実際のCTIT時間の分布を模倣するため、一定の間隔で同じクリックを繰り返し送信します。そうすることで、常にインストールに比較的近い「最後のクリック」を生成します。
インストールが発生すると、Adjustはアトリビューション期間内でアトリビューション対象となるすべてのクリックを確認します。大量のクリックパターンを認識した場合は、そのクリックを対象から除外します。これにより、正当なクリックがある場合はそのトラッカーへアトリビュート、またはオーガニックユーザーとして適切にアトリビュートすることができます。
CTITの分布を操作しようとする行為をすべて排除したら、ディストリビューションモデルを適用して残りのクリックスパムを検出することができます。
ディストリビューションモデル
Adjustでは、統計データを見直して実際の不正行為をリアルタイムで分析することで、Adjustのディストリビューションモデルを開発しました。自社の調査により、インストールの85%以上はクリックから1時間以内に記録されることが判明しました。これは、クリックとインストールのタイミングに強い相関関係があることを示しています。
一方不正においては、クリックとインストールとの間にそのような相関関係は見られません。ユーザーは実際にはクリックしておらず、ストアにリダイレクトされていないため、インストールはクリック時間と関係がありません。よって、クリックスパムによってオーガニックユーザーが無作為に盗み取られると、CTITの分布がアトリビューション期間全体に均一に分散されます。
Adjustはこの調査結果を踏まえて、クリックから1時間以内に記録されたインストールの閾値を低く設定しました。クリックの1時間後以降に実行されたインストールの件数が、クリックから1時間以内に実行されたインストールの一定割合を上回る場合、Adjustはクリックのアトリビューションを無効にします。この場合、インストールは、次に正当な計測ソースまたはオーガニックトラフィックにアトリビュートされます。