ディストリビューションモデル

Adjustの「ディストリビューションモデル」は、クリックスパムによる不正アトリビューションを防止します。それを行うために、Adjustでは、発生したクリックがクリックスパムである可能性を統計的に算出し、そこから逸脱する過度のエンゲージメントを除外します。不正行為によってデータセットが歪むことを防ぐため、価値をもたらすオーガニックユーザーを確信を持って特定できます。

グロースソリューション:
不正防止機能は、Adjustグロースソリューションとして提供しています。お客様のアカウントに当機能の追加をご希望の際は、 sales@adjust.comまでお問い合わせください。

計測の仕組み

Adjustでは、不正なクリック行為を「クリックスパム」と呼んでいます。不正業者がクリックスパムを行う目的は、オーガニックユーザーのアトリビューションを盗み取ること、つまり一定数のオーガニックインストールを不正なキャンペーンにアトリビュートさせることです。この手口で、不正なキャンペーンが価値のあるユーザーを大量に発生させているように見せかけます。

クリックスパムには様々な形式があります。閲覧をクリックとして送信するトラフィックソースから、人工的なクリックのカタログを送信するサーバーまで、さまざまなものがあります。もう1つの一般的な例に、アプリがバックグラウンドで目につかないように広告を読み込み、クリックするケースがあります。

Adjustのディストリビューションモデルは2つの方法で、クリックスパムによるインストールのアトリビューションを特定して拒否します。

  • ハイパーエンゲージメント:​ 高頻度のクリックや重複が多過ぎるエンゲージメントを無効にします。
  • ディストリビューション異常値:​ クリックからインストールまでの時間の分布を基に、アトリビューションを拒否します。

ハイパーエンゲージメント

まず始めに、Adjustは高頻度のクリックスパムを排除します。高頻度のクリックスパムは、不正業者がユーザーに成りすまして一定間隔でクリックを繰り返し送信することにより発生します。そうすることで、常にインストールに比較的近い「ラストクリック」を生成しようとするのです。

インストールが発生すると、Adjustはアトリビューション期間内でアトリビューション対象となるすべてのクリックを確認します。同じパターンのクリックを大量に認識した場合は、そのクリックをアトリビューションの対象から除外します。これにより、正当なクリックがある場合はそのトラッカーへアトリビュート、またはオーガニックユーザーとして適切にアトリビュートすることができます。

分布異常値に対するフィルター

Adjustは、ディストリビューション異常値をリアルタイムにフィルターする方法を開発するために、統計データを調査して実際の不正行為を分析しました。その結果、正当なトラフィックからのインストールの85%以上はクリックから1時間以内に発生することが判明しました。これは、広告のクリックとインストールのタイミングに強い相関関係があることを示しています。

クリックスパムにおいては、クリックとインストールとの間にはそのような相関関係はありません。というのは、クリックスパムによってオーガニックユーザーが奪われたり、正当なソースへのアトリビューションが盗み取られたりするためです。よって、ユーザーはそもそも広告をクリックしておらず、閲覧してもいません。そのため、クリックスパムの影響を受けたキャンペーンのクリックからインストールまでの時間(CTIT)の分布は、アトリビューション期間全体に分散されます。

A visual representation of how the click-to-install-time distribution on campaigns affected by click spam is spread out across the entire attribution window.

結果として、Adjustは常に強いユーザーの意図を示すエンゲージメントを優先します。Adjustは、クリックからインストールまでの時間の分布を分析することで、これを決定します。クリックから60分以上が経ってからコンバージョンの大部分が発生した場合、Adjustはクリックへのアトリビューションを拒否し始めます。これらはディストリビューション異常値としてレポートされ、インストールは次に適格なソースまたはオーガニックトラフィックにアトリビュートされます。

不正ではないトラフィックのフラグ

Adjustがユーザーの意図を分析する方法が原因で、不正ではないトラフィックがディストリビューション異常値としてフラグされる場合があります。例えば、広告のクリック率(CTR)が極めて高いにも関わらず、コンバージョン率が低い場合、Adjustはクリックからインストールまでの時間の分布を分析して、クリックのアトリビューションを拒否する可能性があります。これは、Adjustが強いユーザーの意図を示すエンゲージメントを優先し、正当なオーガニックトラフィックが誤ってアトリビュートされるのをディストリビューション異常値フィルターが防ごうとするためです。

アトリビューションが拒否されている場合、インプレッションやクリック、インストールを含むコンバージョンジャーニーにおいて、遅延やユーザーの操作を妨害する技術的な問題が存在しないか確認することをお勧めします。そうすることにより、データの異常値を解消し、連携するパートナーに一貫性のあるデータを提供できるだけでなく、全体的なユーザー体験(UX)の向上にもつながります。また、技術的な問題ではなく、広告デザインによってクリック率が高い場合もあります。

不正行為をブロック

不正アクティビティのソースを除外することに加え、AdjustはブロックリストAPI を使用して、不正行為者が使用するネットワークレベルのリンクをブロックします。意図的な不正行為に関連するリンクが頻繁に発生する場合、Adjustはそのリンクをブロックリストに追加します。リンクがブロックリストに登録されると、Adjustはそれ以上のインタラクションを計測しません。既存のエンゲージメントとアトリビューションは、ブロックリストに登録されたリンクに関連付けられたままになります。

重要:
ブロックリストは、不正防止フィルターの代わりではありません。クリックスパムの定義やニーズをパートナーと明確にする必要があります。

ご不明な点がございましたら、Adjustの担当者までお問い合わせください。

レポートのディストリビューションモデルデータ

クリックスパムにより拒否されたアトリビューションは、レポートに表示されます:

  • 拒否されたインストール:エンゲージメント過多(RI TME)
  • 拒否されたインストール:ディストリビューション異常値(RI DO)

クリックスパムにより拒否されたリアトリビューションは、レポートに表示されます。

  • 拒否されたリアトリビューション:エンゲージメント過多(RR TME)
  • 拒否されたリアトリビューション:ディストリビューション異常値(RR DO)
注意:
クリックスパムによりアトリビューションが拒否されたインストールの場合、Adjustは独自のアトリビューション手法に基づき正当なソースにアトリビューションを行うか、他のソースが見つからない場合は、オーガニックに貢献度を付与します。